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倍音とは何かを図解でわかりやすく解説|音色が変わる仕組みと聞き分け方

音の豊かさを感じるのは、単に高い音や低い音だけではありません。どんな楽器や声でも、聞こえる音には基となる「基音」と、それに重なる「倍音」が混ざっています。倍音を知ると、楽器ごとの違いや声の個性、録音・演奏での表現がより分かりやすくなります。まずは図を思い浮かべながら、倍音の基本をやさしく見ていきましょう。

目次

倍音とはについてわかりやすく図解

倍音を短く説明

倍音とは、ある音の基になる低い音(基音)に対して、その整数倍の周波数をもつ高い音のことです。基音があると、その上に2倍、3倍といった周波数の音が重なり、全体の音色を決めます。図で表すと、基音が一番低い波形で、その上に波長の短い波が何層も重なっているイメージです。

倍音は聞こえる高さそのものを大きく変えるわけではありませんが、音の「質感」を左右します。例えば同じ高さの音でも、倍音の構成が違えば明るく聞こえたり、温かく聞こえたりします。音響機器や演奏テクニックでも倍音を調整することで、狙った響きを作り出せます。

基音と重なる高い音

基音はその音の最も低い周波数成分で、我々が感じる「音の高さ」を決めます。基音の上には倍音が重なり、これが音色の違いを生み出します。倍音が多いと音は明るく、少ないとこもり気味に感じます。

倍音には2倍、3倍という整数倍の関係が基本ですが、実際には楽器や声の構造で強さや出方が変わります。例えば弦を弾いたとき、すべての倍音が同じ強さで出るわけではなく、特定の倍音が強調されてその楽器らしい音になります。

倍音で音色がどう変わるか

音色は倍音の「どの倍音が強いか」「どれだけ含まれるか」で決まります。倍音が豊富でバランス良く含まれると、音ははっきりと輪郭があり、定位も分かりやすくなります。一方で高次の倍音が少ないと、音は丸く柔らかく聞こえます。

演奏やマイクの位置、素材の違いで倍音の出方が変わるため、同じメロディでも楽器や会場によって印象が大きく変わります。録音の際は倍音の量を確認してバランスをとることで、より自然で魅力的な音に仕上げられます。

身近な楽器や声での例

ギターを弾くと明るいジャキッとした音が出ますが、これは高い倍音がよく出ているためです。バイオリンも同様に倍音が豊富で輝く音を出します。対してフルートは比較的奇麗で滑らかな倍音分布を持ち、柔らかく透き通った響きになります。

人の声でも個人差があります。低い声でも高い倍音がしっかり出ると明瞭に聞こえ、鼻や胸の共鳴の仕方で倍音のバランスが変わります。普段の会話や音楽を聴くときに、こうした違いを意識してみると面白くなります。

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倍音が生まれる仕組み

音は振動で生まれる波

音は物体の振動が空気を伝わって耳に届く現象です。振動が規則的だと一定の周波数を持つ音になり、不規則だと雑音になります。弦や管、膜などが振動する際、その基本の振動に加えて部分的な振動モードが生じ、これが上位の周波数成分になります。

振動の形がシンプルほど倍音の種類は限られ、形が複雑だと高次の倍音が多くなります。楽器の形状や材質、弾き方・吹き方で振動のモードが変わるため、倍音の出方も変わります。

基音と上の周波数のつながり

基音は振動全体のゆっくりした往復で表されますが、同じ振動体には速い周期の部分振動も同時に起こります。これらがそれぞれ異なる周波数を持ち、聞こえる音はそれらの重ね合わせです。結果として波形は単純な正弦波でなく、複雑な形になります。

耳や機器はその複雑な波形を分解して認識しており、脳は基音を高さとして、倍音の構成を音色として処理します。このつながりが音の豊かさを生みます。

整数倍の周波数と倍音列

理想的な倍音は基音の2倍、3倍、4倍という整数倍で並びます。これを倍音列と呼びます。例えば基音が100Hzなら2倍は200Hz、3倍は300Hzとなります。楽器によってはこの系列がきれいに出るため、音の調和が自然に感じられます。

整数倍で揃うことで和音のような安定感が生まれ、音楽的にも心地よく聞こえます。弦楽器や管楽器ではこの関係が比較的はっきり見られます。

非整数倍が現れる理由

現実の楽器や声では完全な整数倍にならないことがよくあります。これは振動体の固有形状、空気の流れ、非線形な挙動などが影響するためです。例えば弦の端点での固定条件や管の開口の影響で倍音が微妙にずれることがあります。

また強く弾いたり吹いたりすると非線形成分が増え、高次の非整数倍成分が出る場合もあります。これが独特の粗さや迫力を生むこともあります。

楽器や声で違う倍音の鳴り方

弦楽器での倍音の特徴

弦楽器は弦自体の振動モードがはっきりしているため、比較的明確な整数倍の倍音列が出ます。指で弾く位置や弓の当て方で倍音の強さや分布が変わり、楽器ごとの音色差が生まれます。

フレットや胴の共鳴も倍音の強調に影響します。ギターではナット近くを弾けば低次の倍音が強く、ブリッジ寄りだと高次の倍音が出やすくなります。バイオリンは胴全体の共鳴で倍音が増え、華やかな響きになります。

管楽器の倍音の出方

管楽器は管内の空気の共鳴が主な要因で、開管・閉管の違いで出る倍音が変わります。例えばオープンな管は比較的整数倍が並びやすく、倍音列が整って明るい音になります。管の形やキーの開閉で強調される倍音が変わり、音色の幅が広がります。

息の入れ方や唇の使い方でも倍音が変わるため、演奏者の技術でかなり音色をコントロールできます。

鍵盤と打楽器の違い

ピアノなどの弦を打つ楽器では倍音は出ますが、ハンマーの当たり方や音板の共鳴で複雑になります。打楽器は振動体が短く不規則な場合が多く、明確な倍音列にならないことが多いです。結果として打楽器は高さ感が曖昧で、リズムや打撃感が主になります。

鍵盤楽器は設計次第で倍音のバランスが調整されており、低音域では倍音がやや乱れることがあります。

歌声で聴こえる倍音の例

声は声帯の振動と共鳴腔の形で倍音が作られます。発声法や口の開き、喉や鼻の共鳴の仕方で倍音の分布が変わり、個性が出ます。高音になっても倍音が豊かな声は遠くまで通り、説得力があります。

倍音の調整でやわらかさや鋭さを出せるため、歌手は意図的に共鳴を変えて表現を作ります。

エフェクトで倍音が増える仕組み

エフェクト機器やプラグインでは倍音を強調したり、新たな倍音成分を加える処理があります。オーバードライブやディストーションは波形を歪め、非線形成分として高次倍音を生みます。これにより音に厚みや存在感が増します。

ハーモナイザーや倍音生成機能は入力音から特定の倍音だけを強調することで、原音の雰囲気を保ちながら色付けができます。

倍音の出し方と聞き分け方

ギターでハーモニクスを出す方法

ギターでは開放弦やフレット上で軽く触れて弾くとハーモニクスが出ます。12フレット付近で触れると2倍の倍音、7フレット付近だと3倍の倍音が得られやすいです。指の力を弱めにして軽く触れ、ピッキングで弦を振動させると純粋な倍音が響きます。

ナチュラルハーモニクスとタッピングによる人工ハーモニクスで音色が変わるので、どちらも試してみて自分の好みを見つけてください。

ピアノで倍音を確認するコツ

ピアノは直接弦を触れられない場面が多いですが、低音域の音を鳴らしながら高音域の鍵を静かに押すと共鳴で倍音が増すのを感じられます。サステインペダルを使うと弦全体が共鳴し、倍音がより聞き取りやすくなります。

録音や部屋の残響が少ない環境だと倍音の違いが分かりやすいので、静かな場所で確かめるのがおすすめです。

声でハミングやフラジオレットを試す方法

唇を閉じてハミングすると、口や鼻の共鳴が倍音を整えます。声を低めにしてから徐々に口の形や舌位置を変えると倍音の働きが分かりやすくなります。フラジオレット(裏声で高い倍音を出す技法)は、特定の周波数を強めて上の倍音を聴かせることができます。

無理をせず、リラックスした状態で呼吸を落ち着けて試してみてください。

スペクトル表示で倍音を見る方法

DAWやスペクトラムアナライザーを使うと、音の周波数成分が視覚的に見えます。基音のピークとその上に並ぶ倍音のピークが確認でき、どの倍音が強いかが一目で分かります。録音して表示すると、楽器や声ごとの違いを比較するのに便利です。

設定で解像度を上げると高次の倍音まで詳しく見られますが、処理負荷が上がる点に注意してください。

耳で倍音を見つける練習の順番

まずは単純な音から始め、開放弦やピアノの単音をじっくり聴いてみてください。次にハーモニクスを鳴らしたり、スペクトラム表示と合わせて確認すると耳と視覚が連動します。

慣れてきたら複数の楽器を比べ、どの帯域に差があるかを探すと聴き分けの精度が上がります。短時間でも毎日続けることで、倍音を素早く識別できるようになります。

倍音を知れば音の世界が広がる

倍音を理解すると、楽器選びやアレンジ、録音や演奏の表現がより意識的になります。音の質感を変えるための手立てが増え、好みの響きを作りやすくなります。耳で聴き、目で確認し、実際に触れてみることで、音の深みや違いをもっと楽しめるようになります。

幅広く使い勝手の良い音、バランスの良い弾き心地を追求した初心者用のエレキギターセット。
色も豊富!まずは音を鳴らしてエレキギターを楽しもう!

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この記事を書いた人

4歳でピアノを始め、大学ではキーボード担当としてバンド活動に没頭。社会人バンドも経験し、長年「音を楽しむ」スタンスで音楽と向き合ってきました。これから楽器を始めたい人や、バンドに挑戦してみたい人に向けて、音楽の楽しさを発信しています。

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