LUFSの目安とは何か理解しよう

音楽制作や配信で多く耳にする「LUFS」という指標は、作品が聴きやすく仕上がっているかを判断するうえで大切な要素です。まずはその理由や基準を見ていきましょう。
LUFSが音楽制作で重要な理由
LUFSとは、音の「ラウドネス」(感じる音量)を数値化するための単位の一つです。従来の音圧計測方法と違い、人間の耳でどれだけ大きく聴こえるかを基準にしています。この指標が音楽制作において重要な理由は、リスナーにとって快適な音量バランスで曲を届けるためです。
たとえば、同じアルバム内で曲ごとに音量が大きく違うと、聴いている側は都度ボリュームを調整する必要があります。LUFSを活用すれば、こうした違和感を減らし、一貫した聴きやすさを保つことができます。また、配信やストリーミングでは自動的に音量が調整される場合が多いため、LUFSの目安を理解し適切に設定しておくことが大切です。
ストリーミングサービスごとのLUFS基準
各ストリーミングサービスは、曲が流れる際の音量を自動で一定に調整する「ラウドネスノーマライゼーション」を導入しています。これにより、どの曲も大体同じくらいの音量で再生されます。しかし、サービスごとに基準となるLUFS値が異なっている点に注意が必要です。
主な配信サービスのLUFS基準は次のとおりです。
- Spotify:おおよそ -14 LUFS
- Apple Music:おおよそ -16 LUFS
- YouTube:おおよそ -14 LUFS
自分の楽曲をどこで配信するかによって、推奨されるLUFS値を設定する工夫が求められます。基準を大きく外れた音量でマスタリングすると、自動調整時に音質の変化が生じることもあります。
LUFSと音圧の違いを知る
LUFSと混同されやすい指標に「音圧」(ピークやRMS値)があります。音圧は一時的な「音の強さ」を指し、数値が高いほど迫力のあるサウンドとして感じられます。
一方、LUFSは音の「感じる大きさ」を平均的に測る単位です。音圧を無理に上げすぎると一瞬大きく聴こえますが、LUFSが高くなるわけではありません。また、LUFSを意識しないまま音圧だけを追求すると、曲全体が聴き疲れるものになりやすいです。音圧とLUFS、それぞれの役割を理解してバランスよく仕上げることが理想的です。
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楽曲ジャンルや用途による最適なLUFSの選び方

ジャンルや使う場面によって、最適なLUFS値は少しずつ異なります。ここではジャンル別や用途別の目安を具体的に紹介します。
ロックやポップスなどジャンル別のLUFS目安
ロックやポップスは、シンプルにラウドでインパクトのあるサウンドが好まれる傾向があります。そのため、LUFS値も比較的高めに設定されることが多いです。ただし、上げ過ぎると音の表現力が失われやすくなります。
ジャンル別のLUFSの目安を表にまとめます。
ジャンル | 目安となるLUFS |
---|---|
ロック | -8~-10 |
ポップス | -10~-12 |
ジャズ | -16前後 |
たとえばジャズやクラシックは、音の強弱や空間表現が重視されるため、LUFSは控えめが向いています。自分の作る楽曲の特徴やターゲットを考えて設定すると良いでしょう。
映像や配信で求められるLUFS設定
映像作品やライブ配信では、音楽単体の場合と求められるLUFS値が異なる場合があります。特にテレビや映画、YouTube動画などでは、セリフや環境音とのバランスが大切です。
たとえば、テレビ放送の場合は-24 LUFS程度が標準とされています。これに対してYouTube配信では-14 LUFS前後が目安です。ライブ配信の場合も、視聴者が突然の大音量で驚かないよう、控えめなLUFS設定が好まれることが多いです。用途ごとに基準を確認することが重要です。
メディアごとのラウドネスノーマライゼーションの違い
ラウドネスノーマライゼーションは、媒体ごとにルールや仕様が異なります。同じ音源でも、配信先によって聴こえ方が変わるため注意が必要です。
主な媒体ごとの特徴をまとめます。
メディア | 基準LUFS | 備考 |
---|---|---|
テレビ放送 | -24 | 映像内の他の音とのバランス重視 |
YouTube | -14 | 楽曲もトークも同じ基準 |
CD | なし | 特定基準はなく制作側の自由 |
たとえばCDには決まったLUFS基準がなく、自由にマスタリングできますが、配信や放送では基準を守らないと音質やバランスに影響が出る場合があります。
マスタリングでLUFS値を調整する実践テクニック

楽曲を最終的に仕上げる「マスタリング」工程では、LUFS値の調整が大切です。ここからは、実際の手順や注意点を解説します。
基本的なマスタリング手順とLUFSの測定方法
マスタリングでは、まず全体の音量バランスを整えます。イコライザーで不要な帯域をカットしたり、コンプレッサーで音のばらつきを抑えたりします。そのうえで、リミッターを使ってピークを抑え、適切なLUFS値に近づけていきます。
LUFSの測定には、専用のメーターやプラグインを使うと便利です。作業の途中で何度も測定しながら、目標値に近づけていきます。最初は少し低めに設定しておいて、全体の仕上がりを聴きながら徐々に調整するのが安全です。
ミックス時に意識したいLUFSコントロール
ミックスの段階からLUFSを意識することで、最終的なマスタリングがスムーズになります。楽器ごとの音量バランスや定位(左右の配置)を整えることで、ピークを抑えつつラウドさを保つことができます。
たとえば、ボーカルや主役となる楽器がしっかり前に出るよう調整し、その他のパートは少し控えめにすることで、全体の音圧が過剰になりすぎません。ミックスの段階で「音量の無駄な盛り上がり」を作らないよう気をつけることも重要です。
リファレンス曲を使ったLUFS調整のコツ
仕上げの段階では、自分が目指す雰囲気の楽曲(リファレンス曲)を用意し、LUFS値や音のバランスを比較すると効果的です。リファレンス曲のLUFS値を事前に測定し、その数値を目標の一つに設定します。
リファレンス曲と交互に聴き比べながら作業すれば、過度な音圧やバランスの崩れを防ぎやすくなります。また、異なる再生環境(スピーカーやイヤホン)でも確認し、全体として聴きやすい仕上がりになっているかチェックするとより安心です。
LUFS値を上げすぎないための注意点とよくある失敗

適切なLUFS値に仕上げるためには、いくつか注意したいポイントや避けたい失敗例があります。ここで詳しく見ていきましょう。
音圧とダイナミクスレンジのバランス
音圧(音の強さ)を上げることと、ダイナミクスレンジ(音の強弱の幅)を広く保つことは、両立が難しい場合があります。音圧を上げすぎると、曲の抑揚や表現力が失われ、平坦な印象になりがちです。
バランスを取るためには、盛り上がる部分と静かな部分の対比を意識し、全体が単調にならないようにしましょう。リスナーが聴き疲れしにくい楽曲に仕上げるためにも、音圧とダイナミクスの調整は大切です。
過度なリミッター使用による弊害
リミッターはピーク(音の最大値)を抑えるために使うエフェクトですが、これを強くかけすぎると音がつぶれたように聴こえてしまいます。高音や低音が歪んだり、余韻が感じられなくなったりすることも少なくありません。
特にLUFS値を無理に上げようとしてリミッターを多用すると、音楽本来の質感や表現力が損なわれてしまいます。適度な使用を心がけ、仕上がりを何度も聴き直して違和感がないか確認することが重要です。
各プラットフォームでの音質劣化を防ぐポイント
配信やストリーミングでは、音源が自動的に変換・圧縮されることがあり、意図しない音質劣化が起こることがあります。特に、LUFS値が基準より高すぎる場合、自動で音量が下げられた際に、音質が低下することもあります。
防ぐためには、配信先のLUFS基準を事前に確認し、その数値に合わせてマスタリングすることが大切です。また、実際に各サービスにアップロードした後の音を必ずチェックし、必要に応じて再調整すると良いでしょう。
まとめ:LUFSの目安を知り最適な音楽制作を目指そう
LUFSという指標を理解し、適切な目安を知ることで、どのようなジャンルや用途でも聴きやすい音楽を作ることができます。制作から配信まで、各段階でLUFS値を意識しながら進めることが大切です。
自分に合ったLUFSの目安を見極め、バランスよくマスタリングや音質調整を行いましょう。より多くのリスナーが快適に楽しめる作品作りにつながります。
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