マイクのホワイトノイズをすぐ減らす方法｜接続から設定まで徹底チェック

マイクのホワイトノイズや雑音は、収録や配信の質を下げる大きな原因です。まずは慌てずに原因を絞り込み、手元でできる簡単なチェックから試していきましょう。機材やソフトの設定、環境改善を組み合わせることで、短時間で聞きやすい音に近づけられます。ここではすぐできる対処法から長期的な対策まで順を追って解説します。

マイクのホワイトノイズをすぐに抑える3つのチェック

接続とケーブルを最初に確認する

機器を使っていると、まずは物理的な接続が原因でノイズが出ることが多いです。まずはケーブルの抜き差しを行い、コネクタに緩みや異物がないか確認してください。金属部分に汚れがある場合は、乾いた布で優しく拭き取ると改善することがあります。

また、ケーブル自体の断線や内部劣化も疑ってください。曲げ癖や強いテンションがかかる場所があると接触不良を起こします。可能なら別のケーブルで同じマイクを接続して比較すると原因の切り分けがしやすくなります。

最後に接続先の端子やアダプタも点検しましょう。アダプタや変換コネクタを噛ませている場合、それらがノイズ源になることがあります。直結で確認できるなら一度試してみてください。

別のUSBポートやケーブルに差し替える

USBマイクやオーディオインターフェースを使っている場合、ポートに問題があることがよくあります。別のUSBポートに差し替え、可能ならPC本体背面の直接接続ポートを使ってください。前面やハブ経由だと電力供給が不安定になりやすいです。

ケーブル自体も交換して比較することが効果的です。特に安価なケーブルや長さのあるケーブルはノイズを拾いやすいので、短めでしっかりしたシールドのものを試してください。

さらに、別のPCや別の入力機器で同じケーブルとマイクを試すと、どこに問題があるかさらに絞り込めます。差し替えでノイズが消えれば、元のポートやケーブルの問題と判断できます。

録音ゲインを適切に下げる

録音時の入力ゲインが高すぎると、マイク本来のノイズが目立ってきます。まずはソフトやインターフェースのゲインを少し下げ、入力レベルが適正域（ピークが赤にならない程度）に収まるように調整してください。

ゲインを下げたら、マイクの近接効果を活かして話す距離を少し近づけると声の明瞭さを保てます。ポップガードを併用すると口元を近づけても破裂音を抑えられます。

録音時にはメーターを見ながら調整し、静かな部分でのノイズレベルが低くなるかどうかを確認してください。必要ならヘッドホンでモニタリングし、自然な音質を保てる範囲でゲインを設定します。

配信ソフトでノイズ抑制を一時的に入れる

配信や通話中にすぐ対処したい場合、ソフト側のノイズ抑制を一時的に有効にするのが有効です。OBSやDiscord、Zoomなど多くのソフトはリアルタイムでノイズを軽減する機能を備えています。

ただし、設定を強くしすぎると声の自然さが失われる場合があるため、まずは弱めの設定から試してください。ノイズゲートとノイズ抑制を組み合わせることで、無音時のノイズを減らしつつ発話時の音質を保ちやすくなります。

配信前に短いテスト配信や録音を行い、聞き心地を確認してから本番に入るようにしましょう。

聞こえ方で分かるノイズの種類と原因

サーという持続音のよくある原因

「サー」という持続的な高域ノイズは、マイクや機材の内部ノイズ、高周波干渉、あるいはソフトの低レベルゲインで目立つことが多いです。機材側ではプリンプやUSB回路の特性が影響する場合があります。

まずはケーブル交換と別ポートでの確認を行い、それでも残る場合はマイク自体の固有ノイズと考えてください。コンデンサマイクは特に内部回路のホワイトノイズが出やすい種類があります。ゲインを下げて距離を近づけると改善することがあります。

別の原因としては近くの電子機器からの高周波干渉もあります。ルーターやスマホ、モニタの電源などを離してみると軽減することがあるため、機器の配置もチェックしてみてください。

ブーンという低域の唸りのチェック手順

低域の「ブーン」は電源まわりやグラウンドループがよく原因になります。まずは電源タップや他の機器の電源を別系統にしてみて、ノイズが変わるか確認してください。

次に、バランス接続できる機材ならそちらに切り替えることで低域の唸りを大きく減らせます。ケーブルを短くし、金属筐体の接触を避けることも有効です。

もしスタジオや部屋そのものの共鳴が原因なら、録音時のマイクの位置を動かして共鳴点を避けるとよいでしょう。窓や床の振動が伝わっている場合は振動対策も検討してください。

ジーという高周波ノイズの見つけ方

高周波の「ジー」は電気的な干渉が原因であることが多いです。まずは周辺の無線機器やLED照明、スマホを遠ざけて確認してください。動かしたときにノイズが変化すれば干渉源が特定できます。

機器を一つずつ電源オフにして確認する方法も有効です。特定の機器を切ったときにノイズが消えれば、その機器の電源回路や電磁ノイズが原因です。

ソフト側ではサンプリングレートやバッファサイズの不一致が高周波ノイズを生むことがあるため、設定を合わせることも忘れずに試してください。

プチプチやクリック音の原因例

断続的なプチプチやクリック音は接触不良やデジタル伝送のドロップ、バッファ欠落が原因になることが多いです。まずはコネクタやケーブルの物理的な点検を行ってください。

USBやLightningなどのデジタル接続では、ドライバやファームウェアの問題で音切れが起きることがあります。ドライバの更新やケーブル交換、別ポートでの確認をしてみましょう。

また、PCの負荷が高くて処理が追いつかない場合にもクリックが発生します。録音・配信中の他プロセスを減らしてCPU使用率を下げてみてください。

風や衣擦れなど環境音の見分け方

風や衣擦れはマイク先端に当たる空気の振動が原因です。外部の風はウインドスクリーンで大きく抑えられますし、衣服の擦れはマイク位置を少し変えるだけで改善することがあります。

録音中に身体を動かしたときだけ音が出るなら衣擦れやマイクの固定が緩い可能性があります。ショックマウントやポップガードの使用で物理的に伝わる振動を減らすと効果が高いです。

屋外収録や窓の近くでは風向きにも注意が必要です。予備の録音を行って、どの状況で音が出るかを確認すると対策が見えやすくなります。

機材で直せる重要なポイント

ケーブルとコネクタを交換して確認する

ケーブルはノイズの発生源として最も多い部分の一つです。端子やシールド部分が劣化すると外来ノイズを拾いやすくなります。まずは短めの高品質シールドケーブルに交換して確認してください。

コネクタの接触不良は時間と共に増えます。コネクタ部が揺れる、差し込みが甘いと感じる場合は交換を検討しましょう。XLRやTRSなどの金属端子はクリーニングで改善する場合もあります。

簡単な比較として、同じマイクを別のケーブルで接続した時にノイズが消えるかどうかを試すと、原因の切り分けが楽になります。

バランス接続に切り替えるメリット

アンバランス接続に比べて、バランス接続は外来ノイズに強いのが特徴です。特に長距離ケーブルを使う場合や電磁ノイズ環境では効果が顕著です。

マイク側とインターフェース側がバランス対応であれば、XLRケーブルやTRSで接続することで低域の唸りや高周波ノイズを大きく減らせます。機材購入時にはバランス対応かを確認する価値があります。

ただし、変換アダプタを多用すると逆にノイズが出る場合もあるので、可能な限り直接バランス接続することをおすすめします。

グラウンドループの有無を検証する

複数の機器を異なる電源タップや経路で接続していると、グラウンドループによるハム音が発生することがあります。最も簡単なチェックは、一時的に機器を同じ電源タップにまとめることです。

もしそれでハムが消えるならグラウンドループが原因です。対処法としては電源の再配線、絶縁トランスやグラウンドリフト（注意して使用）などが考えられます。専門性の高い対応が必要な場合は電気系のプロに相談してください。

オーディオインターフェースの電源と入力設定を見直す

インターフェースの電源方式（バスパワーか外部電源か）や入力設定でノイズが変わることがあります。バスパワー接続はPCの電源ノイズを拾いやすい場合があるため、外部電源に切り替えられるなら試してみてください。

また、インターフェースのサンプルレートやバッファサイズも音質と安定性に影響します。バッファを増やすとクリック音は減りますがレイテンシーが増えるため、用途に応じてバランスを取ってください。

マイクの電源方式とファンタム供給を確認する

コンデンサマイクはファンタム電源で動作するため、供給が不安定だとノイズが出ます。インターフェースやミキサーのファンタム電源が安定しているか、オン/オフの切り替えでノイズが変わるかを確認しましょう。

ダイナミックマイクでは電源の問題は少ないですが、必要に応じてプリアンプの品質を見直すことが有効です。電源供給が原因とわかった場合は、適切な電源を用意することで改善します。

ヘッドホンでモニターして原因を絞る

スピーカーでは気づきにくいノイズもヘッドホンで聞くと分かりやすくなります。録音中にヘッドホンでモニターし、ノイズのタイミングや性質を確認してください。

ヘッドホンで確認すると、再生系のスピーカーからの回り込みか入力側のノイズかを区別しやすくなります。可能ならモノラルで聞いて左右差をチェックすると、どの機器が原因か特定しやすくなります。

ソフトで行うノイズ処理と実用例

OBSのノイズ抑制とノイズゲートの設定順

OBSではノイズ抑制フィルタとノイズゲートを組み合わせると配信中の安定性が上がります。まずノイズ抑制を追加し、強度は低めから試します。次にノイズゲートを入れ、無音時に信号を遮断する閾値を調整します。

ゲートの開閉が速すぎると音声の頭切れが発生するため、開閉時間も微調整してください。配信前に録画やテスト配信で確認し、声の自然さとノイズ低減のバランスを探るのが良いです。

Audacityでノイズプロファイル除去を行う手順

Audacityではノイズが含まれる無音部分を選択してノイズプロファイルを取得します。そのプロファイルを使って全体にノイズ除去を適用します。強度を上げすぎると音声が変わるため、スライダーを少しずつ調整しながらプレビューしてください。

除去後はイコライザーやコンプレッサーで音色を整えると自然に近づきます。作業は元ファイルのコピーを使い、段階的に処理を保存して戻れるようにしておくと安心です。

ReaFIRを使って特定周波数を削る方法

ReaFIR（ReaPlugs）は特定周波数の除去に向いています。まずスペクトラム表示でノイズの周波数を特定し、ノッチフィルターでその帯域を抑えます。リアルタイムで微調整できるため、配信や配信準備に便利です。

ただし狭すぎると副作用が少ない一方、広域を削ると音声の厚みが失われやすいので注意してください。必要に応じて複数のノッチを使って分散させると自然さを保てます。

NVIDIA Broadcastでリアルタイム除去する条件

NVIDIA Broadcastは対応GPUがある環境で動作し、AIベースのノイズ除去をリアルタイムで行えます。使用には対応するGPUドライバと設定が必要です。動作中はCPU負荷は比較的低いですが、GPUリソースを消費します。

このツールは環境ノイズやキーボード音を効果的に抑えられますが、まれに声の一部が削られることがあるため、しきい値やモードをいくつか試して最適な設定を見つけてください。

過度な除去で音が劣化する点に注意する

ノイズ除去を強くかけすぎると音声のディテールや自然な響きが失われ、人工的な音になりやすいです。特に高域や母音の抜けが悪くなることがあるため、強度は最小限から試して調整してください。

処理は段階的に行い、元音声と比較しながら進めると違和感を抑えられます。最終的には聞きやすさを優先し、不自然に聞こえる削り方は避けるようにしてください。

おすすめのノイズ除去ツール紹介

いくつか使いやすいツールを挙げます。リアルタイム向けにはOBSの内蔵フィルタ、NVIDIA Broadcast、RTX Voice（旧）があります。編集向けにはAudacity、iZotope RX（高機能）、ReaFIR（無料プラグイン）がおすすめです。

用途や予算に応じて選び、まずは無料ツールで試してから有料の高機能ツールを検討すると失敗が少ないでしょう。

録音環境と設置で長期的に抑える方法

マイクの向きと距離の基本ルール

マイクは拾いたい音に正対させ、話者の口から20〜30cm程度を目安に設定すると自然なバランスになります。近づきすぎるとポップノイズや低域の過剰が起き、離れすぎると背景ノイズが目立ちます。

指向性の特性も考慮し、単一指向性なら正面を向けて不要音を減らします。状況に応じて角度や距離を少しずつ変えて最もノイズが少なく聞こえる位置を探してください。

ショックマウントとポップガードの効果を確認する

ショックマウントは振動による低周波ノイズを抑え、机やブームによる衝撃音を軽減します。ポップガードは息や破裂音を抑えてクリアな声を保つ効果があります。両方を併用すると物理的なノイズがかなり減ります。

取り付け位置や角度で効果が変わるため、実際に話して試してみて最良の配置を見つけてください。

ファンやエアコンから離して機器を配置する

PCのファンやエアコンは低域の継続ノイズを発生させます。可能ならマイクをこれらの音源から離し、機器は床や別の台に置くなどして振動伝達を断つとよいでしょう。

録音時に風量を下げられるなら一時的に調整するのも有効です。長期的には静音化されたファンや吸音材の導入を検討してください。

簡易吸音で室内ノイズを下げる方法

部屋の反射を減らすことでノイズ感が減ります。反射の強い壁面にはブランケットや吸音パネルを置く、棚に本を詰めるなど手軽な対策が効果的です。窓ガラスからの反射や外音の侵入はカーテンや密閉方法で軽減できます。

過度な吸音は不自然な音場を作ることがあるため、バランスを見ながら部分的に対処してください。

録音前のチェックリストとテスト手順

録音前には以下を確認してください。

• ケーブルとコネクタの状態
• 接続ポートと電源状態
• ゲインとメーターの確認
• 周辺機器の電源オンオフでノイズ確認
• 1分程度のテスト録音でノイズ確認

テスト録音は必ずヘッドホンでチェックし、問題があれば都度調整してから本番に入ると安心です。

今日からできるマイクノイズ対策チェックリスト

• ケーブルとコネクタの抜き差しで接触を確認する
• 別のUSBポートや短いケーブルで試す
• 録音ゲインを下げて距離を近づける
• 配信ソフトのノイズ抑制を低めに有効化する
• ヘッドホンでモニターしてノイズの性質を把握する
• バランス接続や外部電源に切り替えられるか確認する
• グラウンドループの可能性を電源のまとめでチェックする
• ショックマウント、ポップガード、ウインドスクリーンを用意する
• 簡易吸音で部屋の反射を部分的に抑える
• テスト録音をしてノイズ対策の効果を確認する

このリストを順に試していけば、短時間で原因を絞りつつ、長期的に安定した音質を得やすくなります。